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電動ファンモータユニットの交換(BMW E46)

電動ファンモータユニットの交換(BMW E46)

前回の記事でクーラント温度センサーのハーネス根本の配線の被覆に問題があったので取り急ぎの修理をしましたが、結果変わらずだったので別な原因を調べてみました。
問題となっている具体的な症状はエンジンのクーリングファンである電動ファンが1月〜2月の気温が5℃以下の時期でもエンジン始動してしばらくしてから全開で回る問題が発生。この問題はエンジン始動後の冷間時のみ発生し、エンジンを掛け直しすれば何事もなかったかのように正常動作します。
過去のブログを遡って見てみたところ、事の発端は下記の関連記事に残しているのが最初かな?

関連記事:エアコンガスリフレッシャー(AGR)の施術

この記事は2023年の5月なので2年前から症状発生。その後のブログ記事を遡ってみると電動ファンの誤作動に関する記事は以下に発見できました。

関連記事:

エアコンユニット(IHKA)を元に戻してみた(BMW E46)

エアコンのガス圧確認(BMW E46)

25年間使い続けたエアコン回りの部品交換を行いました(BMW E46)

最後の記事(2024/03/14)以降、特に問題発生していなかったのですが今年の1月に電動ファンが全開で回る問題が発生したので、1年持たずして再発といった感じです。

これまでの経過でエアコンの高圧側のガス圧が高くなってしまう事が原因と推測し、25年間無交換だったエアコンのドライヤーを始めてとする関連パーツの交換を行ったわけですが結果的に再発。先日、世話になっているStudieさんにエアコンのガス圧確認をお願いしようと4/8にメールしたら返信が4/10で、作業予約は最短で4/28。エアコンのガス圧確認ぐらいならばその日その場で出来るような事でも予約入れなきゃ対応しないような店になってしまったんですねStudieさん。予約制の方がお店的には楽なんでしょうけど、18日も先にしか作業受けてくれないような店は行きたいと思いませんね。ってそんな先の予定覚えてないしw もし鈴木会長、昔みたいにStudieユーザのブログ読み漁っていたらStudieさん23年目のユーザとしては今の店には不満しなかないので改善してもらいたいです。って言ってももう鈴木会長も店の経営からは退いているって本人から聞いているので、こんなところに書き残しても意味ないんでしょうけどね。最近見てもまったく面白くないStudieさんのホームページを久しぶりに覗いてみたら、いつもお世話になっている横浜店で「メカニック募集」と出ていたので予約が一杯なのは人手不足が原因ですかね?

さてさてStudieさんの糞みたいな予約の話はさておき、取り敢えずエアコンファンの全開する原因を自分で色々と調べてみました。
まずはE46Fanaticsの過去記事を色々あさってみたところ、電動ファンの回転数の設定はDMEが行っていて詳細は過去記事のこちらに書いたBMWのドキュメントの内容を参照してもらうとわかるかと思います。基本的に電動ファンの稼働率Dutyサイクル(0〜100%)を決める4つのファクターがあって、DME内部では

DMEマップ

ラジエター出口のクーラント温度センサーを上記の右側KL_ELU_TKAの温度(℃)に対しての電動ファン回転数を0〜100%で指定。
さらにエアコンユニットからKバスを経由してメーターユニットを経由したCANバス経由でDMEにエアコン側からの電動ファン回転数のリクエストが通達され、リクエストに対してDuty量の高い方が優先後、更に上記の左側KL_ELU_Vの車速(km/h)に対する係数が最終的に掛けられて電動ファンの回転数が決定するのが基本動作。

エアコンがオフの場合は、単純に上記のラジエター出口のクーラント温度センサーの温度に対して電動ファン回転数を0〜100%を決定し、車速に合わせてファンの回転数が決まるとの事。例えば車速100km/hで、ラジエター出口のクーラント温度センサーの温度が70℃の場合は40%x1.0となり電動ファンは40%のDutyで回転するという事になります。
上記のKL_ELU_Vの表から時速140km/h以上で走行した場合、エアコンを使用してもがラジエターで冷却されたクーラントが何℃であろうが係数が0なので電動ファンは一切回転せず、走行風によって冷却するということになります。逆にマップをいじれば任意に電動ファンを回すことが出来るということになります。

その他上記の2つのファクター以外にもバッテリー電圧(低い場合)やエンジンの負荷量(アクセル開度、またはエンジンロード量)によって電動ファンの回転数を決定するファクターが2つありますが、基本的には上記の2つのファクター(クーラント温度センサー&エアコン)で電動ファンの回転数を決めています。

上記以外で電動ファンの動作に関係する原因としては、電動ファンの故障に対する動作対策やクーラント温度センサーの破損等によって、電動ファンを全開にする水温のトラブル対策などもあるので、自分の車がどれが原因で電動ファンが全開のままになっているかの特定は簡単ではありませんが、現状1つ1つ確認していってみました。

クーラント温度センサー

もっとも電動ファンの動作に影響するラジエター出口のクーラント温度センサーはこれまでに3回交換済み。

coolant water outlet temperatureの数値確認

INPAを使用してクーラント温度センサーの値を確認してみましたが問題なし。上記のINPAの画面はINPAのバグなのか設定なのかわかりませんが、摂氏(℃)表示ですが華氏(F)数値で表示されてますが「coolant water outlet temperature」は78.82Fは26℃を示しており、しばらくすると数値が上がっていきます。

現在のクーラント温度センサーは数年(6〜8年かな?)しか経過していないのでクーラント温度センサーの問題の可能性はかなり薄いと判断。

エアコンガス圧プレッシャーセンサー

Studieさんの予約がかなり先なので、現時点でエアコンガス圧の確認は出来ておりませんが、もしエアコンのガス圧が高圧になるとエアコンのコンデンサーがかなり熱を持つので、ライト周辺のフレームがかなり熱くなるはずですが、ここ何度か確認しましたが極端に熱を持っている感じもありません。

IHKAユニットのエアコンのプレッシャーセンサーの値の確認

またこちらもINPAでIHKAユニットのエアコンのプレッシャーセンサー(Pressuer sensor)の値を見ても正常な範囲。っとなると何か別な原因かな...?エアコンのプレッシャーセンサーは過去に2回交換、最後に交換したのは昨年のエアコン回り一式交換した際なのでまだ1年経過していません。

電動ファン本体

INPAを使用してDME経由で電動ファンの動作確認を行うことが出来るので10〜90%Dutyを指定して電動ファンが正常に動作することも確認。ちなみにDuty0%と100%の場合は電動ファンは完全に動作を止めるとのこと。

その他テスト&確認した事

1.電動ファンを100%全開で強制的に回す方法としてアナログな方法はクーラント温度センサーのハーネスを外してエンジンをかけると電動ファンが全開で回るとの事なのでテストしてみたところ、エンジン始動後少しして電動ファンが全開でまわりました。現在抱えている問題と異なる動作状況でエンジン始動後しばらくしての長さがかなり短いです。クーラント温度センサーエラーとしてDMEが判定して保護目的で電動ファンを全開動作にしているのでこのテストは合格。

2.エアコンユニットIHKAからエアコンプレッシャーセンサーまでの3本の配線(+5V、GND、信号)通電、インピーダンス計測を行いましたが問題なし。E46Fanaticsにエアコンドライヤー本体に接続しているプレッシャーセンサーのハーネスの接触不良でトラブルになるケースは比較的多いとの事だったので右前のライトユニットを取り外してエアコンのドライヤー付近にアクセスして配線を確認。

3.エアコンをオフにしてエンジンを始動。当然電動ファンは回らず。先のKL_ELU_TKAの設定内容からクーラント温度センサーが先の50℃以上にならないと電動ファンは回転しませんのでエンジン冷間時からの始動では電動ファンは回転しませんので正常動作している事になります。

現状DMEのステータスの確認、および3つテスト・確認をした限りでは故障となる箇所は見当たりません。そんな中、更に色々と調べてみるとE46Fanaticsに似たような症状なポストがあり、電動ファンの故障によって全開のままになるというポストを見つけました。そこで「電動ファンの故障」というよりも「DMEが電動ファンの故障ってどうやって判断しているのか?」調べてみたところ、

Activation of the electric fan:
When the vehicle is first started the fan is activated briefly (20% of maximum speed), then it is switched off.
This procedure is performed for diagnostic purposes.
The voltage generated by the fan when it slows down (the fan motor becomes a generator at this time) must meet the power output stages programmed criteria.
This will confirm the RPM of the fan, if this is not met the signal wire from the output stage is switched to ground and a fault is set in memory.
(Normally error 125)
Important note: The decision on whether the fan module is operating correctly lies within the Fan module itself.
This is a function of the final output stage electronics.
The DME/DME is reliant upon the correct processing & comparison by the fan module to detect and report an aux fan error.

上記を機械訳すると

電動ファンの作動:
車両を最初に始動すると、ファンが短時間(最高速度の20%)作動し、その後オフになります。
この手順は診断のために行われる。
ファンが減速するときに発生する電圧(このときファンモーターは発電機になる)は、プログラムされた出力段の基準に適合していなければならない。
これが満たされない場合、出力段からの信号線がアースに切り替えられ、メモリにフォルトが設定されます。
(通常はエラー125)
重要:ファンモジュールが正しく動作しているかどうかの判断は、ファンモジュール自体にあります。
これは最終出力段の電子機器の機能です。
DME/DMEは、補助ファンエラーを検出して報告するファンモジュールによる正しい処理と比較に依存しています。

っと電動ファンについているモジュール内部では想像以外に複雑な事をしているようです。上記の内容だと電動ファンの故障の場合はDMEにエラー(125)が残るらしいのですが、当方のDMEのエラー内容を確認してみましたが該当するエラーは無し。ちなみにエラーを残さずDME側は正常に電動ファンが動作していると判定しても電動ファン自身が誤動作するということもあるようです。
これは余談ですが初期のシーメンス製のE46のマニュアル車用の電動ファンはリコールになった情報も発見。日本国内の場合318のMTは2001年以降なので初期モデルはないのでリコールは実施されていない模様。また電動ファンには3つのバージョンがあり、最終的にBOSCH製のGen2バージョンがE46のBMW純正最終電動ファンとの事。またオートマチックトランスミッション(AT)用PUSH式の電動ファンとマニュアルトランスミッション(MT)用のPULL式電動ファンはシュラウド部分の形状が異なりますが、モーター+電動ファンユニット、ハーネスは共通とのこと。(PUSH/PULL方式に対するDMEのコーディングは何もありません。)

当方の車はこちらの記事でAT用のPUSH式ファンを交換してからこちらの記事でMT用のPULL式ファンに交換するまでの約1年半しか使用していなかったPUSH式のモーターと電動ファンユニット一式を残してあったので、取り急ぎ自分で出来る対策として電動ファンモジュールの故障を疑い、現在使用しているPULL式ファンとユニットだけ交換してみることにしました。

電動ファンの取り外し

まずは電動ファンの取り外し。MT車用PULL式ファンの脱着は本当に簡単で5分もかかりません。

取り外したPULL式電動ファン

上記は取り外したPULL式電動ファン。確かヤフーショッピングのパルカさんから購入したんだったかな?

ちなみに海外ではAT車のカップリングファンレス+PULL式ファン化はE46の定番で、エンジンに対するカップリングファンの負荷分出力が上がりエンジンのピックアップが良くなります。最近の車は電動ファンが標準でE46のAT車のようにカップリングファンを使用している車は設計がかなり古いです。25年前当時の設計なので仕方ないですね。E46の後期(2000年〜)ぐらいから電動ファンの故障が少なくなり、電気効率がよくなったという事で自動車業界全体で電動ファンが標準になったようです。ちなみにですがE46の初期のMTでもカップリングファン+PUSH式ファンだったのですが途中からMT車はPULL式ファン標準に切り替えられたそうです。故障しない(少ない)という前提でPULL式電動ファン化はE46の改造定番メニューだったりするんですかね?私自身も電動ファンのご動作2022年の3月にカップリングファンを無くしてPULL式電動ファンに交換してから3年経過しておりますがオーバーヒート等のトラブルは一度も発生しておりません。

スーパーチャージャーのオイルクーラー

私の車の場合スーパーチャージャーのオイルクーラーが上記の位置にあるのでスーパーチャージャーオイルクーラーエアコンコンデンサーラジエターの3層装備ですが、PULL式ファンに交換してもオーバーヒート的な問題は発生しておりませんのでPULL式の電動ファンで十分冷却出来ると判断して問題ないかと思います。

PULL式ファンからファンを外した状態

話がそれましたがPULL式ファンからファンを外して、

コントロールモジュールとモーターを外す

コントロールモジュールとモーターを外して、

PUSH式とPULL式のモーター、コントロールモジュールの比較 

取り外したモーター+コントロールモジュールの比較。コントロールモジュールにラベルがついているのが純正PUSH式ファンから取り外しておいたモーター+コントロールモジュールです。ハーネスの配線の長さが長い以外特に形状的な違いはみあたりません。

PULL式ファンのシュラウド部分にはMAHLEのロゴ

ちなみに購入したPULL式ファンのシュラウド部分にはMAHLEのロゴが入っていました。

BOSCH製コントロールモジュール

PUSH式はBMW純正のBOSCH製コントロールモジュールです。これは先程説明したGEN-2になります。

モーターとコントロールモジュールは完全互換

PULL式シュラウドへの取り付けも特に問題ありませんでした。モーターとコントロールモジュールのサイズは完全互換でした。電動ファンの配線の長さが長くなったので少し配線の取り回しを調整して電動ファンを元に戻して取り敢えずアイドリングで状態を確認。BOSCH製というか純正ファンは動作音全然静かになりました。電動ファンを全開で回してないのですが明らかに静かです。

続く。

 

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