ワンウェイバルブを改造してクランクケース減圧バルブを作成してみた
- 2022/07/11 15:56
- カテゴリー:DIY作業, オイルキャッチタンク/ブローバイ関連
- タグ:#bmw, #e46
ワンウェイバルブを改造してクランクケース減圧バルブを作成してみた
海外のフォーラムを読み漁っているとBMW E46 NAエンジンにターボチャージャーを装備した人がブローバイガスの処理方法について色々と書かれていました。その中で気になった言葉というか初耳な言葉として「ポップアップバルブ」という聞いたことが無いバブルと「ワンウェイバルブ」の2つを使ってブローバイガスを処理したっとの記載がありました。
色々と読み漁ってみると「ポップアップバルブ」とは「ワンウェイバルブ」の1つであって自分的に表でまとめてみると以下のようになりました。
「ポップアップバルブ」というのはあまり聞きなれない言葉だったのですが、単純に内部にバネ(またはリード弁)のないワンウェイバルブを意味していました。
このブログでもこちらの記事で購入したFARMのFV345というPCVバルブが正にこのポップアップバルブです。
BMWのM54B/M52TUBエンジンでCCV(ブローバイセパレーター)を撤去するために使用される有名なPCVバルブです。このバルブは内部にバネが無いので加圧(正圧または負圧)されなければ内部の弁が開閉されません。また内部の弁が動かない程度の圧の場合のときは双方向通過します。
現在当方の車ではこのFV345をインマニ圧が負圧の際に常時ブローバイガスを吸わせている経路に使用しています。M54B/M52TUBエンジンに負圧でブローバイガスを吸わせるには一番適したサイズではないかと思います。(ホース径はちょっと扱いずらいです。)
今回、加給圧がかかった状態でスーパーチャージャーのサクションパイプ側からブローバイガスを吸わせる部分に市販のワンウェイバルブを改造してポップアップバルブを作ってみました。
改造用として使用したのは上記のワンウェイバルブです。このワンウェイバルブは液体用のワンウェイバルブとしてアマゾン等でよくみかけるワンウェイバルブです。ホース径がいくつか選べるので使いやすいのですが、あくまでも液体用なのでバイクなどのクランクケース減圧弁にはそのまま使用するにはちょっと無理があります。
先の表にも書きましたがこのワンウェイバルブの場合、大気圧時「閉じている」点と弱い圧力では「閉じたまま」という点が重要で、その状態でも問題なければワンウェイバルブをクランクケース減圧弁として使用可能かと思われます。多分多くの場合NGだと思います。(もっと厳密に言うと「正圧でバルブを開くのか?」、「負圧でバルブを開くのか?」という点です。)
当方はこれまで色々なPCVバルブ、ワンウェイバルブを調べてきましたが、
バルブの配置向き等も含め、これらのパーツを流用する場合、それぞれ特性が異なるので注意が必要です。
関連記事:
ブローバイガス経路に新規PCVバルブを追加(購入編 BMW E46)
上記の写真以外にクランクケース減圧バルブとして有名なKTM製のバックプレッシャーバルブなども実際に入手して確認してみました。
関連記事:
エンジンのクランクケース圧テスト(BMW M52TUB、M54B)
当方もKTM製のバックプレッシャーバルブは現在他の部分で使用しています。
その他、クランクケース減圧バルブとして販売されているリードバルブ方式のマエカワエンジニアリングさんのレデューサも実際に装備しています。
関連記事:
これまで色々と実験したり装備して、そのバルブの特性などを実際に調べてきましたが、どれも色々な意味で一長一短というかバルブの機能に特徴があります。
今回改造して使用するワンウェイバルブはバルブ本体の構造がネジこみ式になっているので簡単に分解が可能です。自分が使用したのは14mmホース径の物なので、同じバルブでもホース径が異なる場合、内部の弁とスプリングの構造が異なる場合があります。(もしこのブログを参照する場合は自己の責任の範囲でご参照下さい。)
色々とテストしてみたところ、上記の内部のダイアフラムとバネのみを取り外して、M6サイズの皿ネジを加工してバルブ内部に組み込めば、ワンウェイバルブではなくポップアップバルブとして動作させる事が出来ました。
内部に入れるM6の皿ネジですが手持ちのネジはステンレス製しか無かったためアルミ製の皿ネジを入手すべく陸の孤島にある「ネジの永井」さんへバスと徒歩で向い加工目的でアルミ製皿ネジM6の20mmのネジを購入してきました。
上記のアルミネジのネジ山の部分がバルブ本体に当たっても削れる事がないようにネジ山を削り落としました。ドリルにネジを取り付けて鉄やすりで削れば比較的簡単にネジ山を削り落とせます。(ミニ旋盤が欲しい!)
そして上記の写真のように長さ15mmぐらいにカットしました。(未加工のネジと加工済みの皿ネジの比較)
加工した皿ネジは上記のようにバルブ内部に納めます。丁度皿ネジのテーパー部分がバルブ本体にフィットして完全なワンウェイとなり、加圧されていない大気圧状態ではバルブは開いたままの状態となります。(バルブの配置向きに注意が必要です。)
完全に内圧だけで内部のネジが動作しワンウェイバルブとして動作しますのでエンジン仕様にもよりますが、バイク等でクランクケース減圧バルブを再現するにはこの方が良い場合が多いと思います。(前提としてアルミネジを動かせるだけの圧力がかかる必要があります。バネ付きのベンよりも軽く開閉します。)
余談ですがKTM製のバックプレッシャーバルブも内部のバネ抜きを行えば同じ効果が得られます。KTM製のバックプレッシャーバルブは内部がダイアフラム方式ではなくボール方式です。こちらのバルブも取り付け向きによっては常に閉じてしまうので注意が必要です。また小排気量向けなのでバイクなどには良いかもしれませんが車での流用は厳しいかと思います。
パーツクリーナーで洗浄後、バルブを組み上げました。
上記の写真の矢印の部分に今回作成したポップアップバルブを取り付けました。この部分はインマニ圧に連動して負圧のときは常に閉じ、過給圧がかかったときは開きますので常に負圧か正圧がかかっている箇所となります。
現在ブローバイガスの処理には3つのバルブを使用しています。ここ最近なってわかった事なのですがアクセルオフ時、スーパーチャージャーとブローオフバルブの間が大気圧以上のになる場合があり、微弱でも負圧状態であったクランクケースが多少なりとも加圧(負圧が弱くなる)されてしまうためクランクケースの内圧を負圧に保持するにはこの部分にバルブを入れておく必要があるようです。
ポップアップバルブの向きによる注意点
市販品も含めてポップアップバルブを装備するにはバルブの配置向きに注意が必要です。
今回私が使用したのは上記の図の水平配置です。バルブには常に負圧がかかっているので閉じています。スーパーチャージャーによる加給圧がかかった際、バルブは開きサクションパイプ側へブローバイガスを流します。
クランクケースの内圧が上がったり下がったりする場合は、上記の図の通り垂直方向に配置することでクランクケースの内圧を負圧にする事が出来ます。(あくまでも単気筒エンジンを想定した場合です。)
以上、「ワンウェイバルブを改造してクランクケース減圧バルブを作成してみた」でした。