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チャコールキャニスターベントバルブの制御(BMW E46)

チャコールキャニスターベントバルブの制御(BMW E46)

6月の末だというのに関東地方で40℃を超える猛暑日が続いています。夜になっても30℃を超える暑さ。もう日本の夏には「熱帯夜」なんて言葉は必要なくなった感じがしますね。

夜な夜なテストドライブ

最近も夜な夜なテスト走行を繰り返しているのですが、先日パーキングエリアでマフラーの排気ガスの状態等を目視確認していたら、どうもガソリン給油口付近が猛烈にガソリン臭く、流石に連日の猛暑でタンク内の気化したガソリンがチャコールキャニスターに吸着されてひたひた状態になってしまい、許容量をオーバーして大気開放状態になっているのが原因かな?ーっと。

チャコールキャニスターに関しては当ブログでも人気記事なこちらをご覧ください。

関連記事:ガソリン臭いのでチャコールキャニスターを交換しました!(BMW E46)

特にこの時期(夏)に近づくとアクセスがぐっと増えてくるのでチャコールキャニスター付近がガソリン臭い人が検索してくるんでしょうかね。(笑)

チャコールキャニスターをインテークマニホールドの負圧で吸い上げるベントバルブ(パージバルブ、タンクベントバルブなど呼び方が色々です。)に関しては、こちらで動作テストを行ったり、過去にMotecでベントバルブの開閉制御をおこなったり、DME制御に戻したりっと色々とやってきましたが、今更ながら実際どのようにDMEが制御しているのか調べてみる事にしました。

関連記事:

ガソリン臭いのでMotecによるキャニスターベントバルブの開度調整(BMW E46)

キャニスターベントバルブ制御の変更(自分メモ)

まずは純正DMEMS42、MS43のキャニスターベントバルブ(キャニスターパージバルブとも言います。)に関して色々と情報収集してみたところ、キャニスターベントバルブの制御に関する情報はほとんど見つかりませんでした。

それでも色々と調べてみた内容をまとめてみると、純正のDMEは

  1. チャコールキャニスターベントバルブは水温が65℃以上で動作
  2. エアフロセンサー/回転数マップによってデューティー制御
  3. E46のベントバルブはPWMで10Hzで動作

との情報が得られました。

以前自分の車のDMEフルマップを読みだしたときのデータをTuneProでタグ検索してキャニスターベントベントバルブに関するマップを調べてみたところ、

MS42のIP_CPPWM_MIN_CAT_VAR__N__MAFマップ

上記のマップが見つかりました。シーメンスのDMEタグだとIP_CPPWM_MIN_CAT_VAR__N__MAFがキャタライザーが温まった後のチャコールキャニスターベントバルブの制御マップらしいです。

上記を見るとエアフロの吸気量(横軸が何故か0,1,2で表示されています。)に対するエンジン回転数でベントバルブをDuty制御で開閉しているようです。

992回転まではゼロなのでアイドリング域ではチャコールキャニスターベントバルブは常に閉じているって事になります。すなわちチャコールキャニスターベントバルブがハード的に故障して開いたまま(閉じる事が出来ない。通常は閉じている)になるとアイドリングが不安定になるの事がこのマップからもわかります。エンジン警告灯は点灯せずに高速道路を降りたあとアイドリングがいきなり不安定になったりする場合、チャコールキャニスターベントバルブが詰まっているケースがあったりします。チャコールキャニスターベントバルブの故障で代表されるP0440エラーはチャコールキャニスターベントバルブがDMEによって断線判断されてエンジン警告灯が点灯するので走行に実害はありませんが、今回のようにチャコールキャニスターが吸われなくなるので、チャコールキャニスター周辺がガソリン臭くなったりします。

DMEマップを見るとアクセル全開時(マップの赤い部分)は、ほぼ全開でチャコールキャニスターから吸い込んでいるようです。

多分、その他ラムダのクローズドループ中(排気ガスの酸素濃度を検出して燃料噴射量を制御中の状態)のみにチャコールキャニスターベントバルブを開いているんだと思います。そうしないと極端に燃料が濃く(リッチ)になってしまうケースも想定されますからね。

DMEのマップを見て思った事は自分が想定した以上にかなりチャコールキャニスターベントから気化ガソリンを吸い込んでいました。エンジン負圧でチャコールキャニスター内部の構造からガソリンタンク内部の圧力を下げつつ、ガソリンタンクキャップが内圧が極端に低くまたは高くならないように保持しているって事かな?

で、実際にチャコールキャニスターベントバルブをDMEが電気的にどのように動作させているか調べるのにMotecのデジタルインプットへベントバルブの制御端子接続し、デジタルインプットをパルス計測を割り付けて、それをMotecのユーザチャンネルに割り付けてログを取ってみました。

まあ「何のこっちゃ?」って感じですよね。(笑)

簡単にいうと純正のDMEがどのようにチャコールキャニスターベントを開閉しているのかMotecで信号を読み込んで制御方法をグラフ化してみたという事です。

Motecで計測したチャコールキャニスターベントの動作状態

上記が実際に計測したログをi2で表示させてみました。1番下のグラフ(水色)がMotecのユーザチャンネルですが、チャコールキャニスターベントバルブがまったく開いていません。グラフを拡大してみると

Motecで計測したチャコールキャニスターベントの動作状態のグラフを拡大

何故か一度だけアイドリング回転域で突然チャコールキャニスターベントバルブを開いて走行開始するとまた閉じてしまっています。エアフロの値と回転数はDME側で正確に読めているはずですが、殆どチャコールキャニスターベントバルブを開いていません。(苦笑)

そもそも自分の車はDMEはエンジンが動いていない事になっているのでフェイルセーフでガソリン燃料に関する部分は機能を停止しているって事ですかね?

これではチャコールキャニスターが気化ガソリンでひたひたになって大気開放されてガソリン臭くなってしまうのもなっとくの結果です。

DMEがキャニスターベントバルブを制御していないのならばDMEマップを元にマニホールド圧力と回転数でDMEマップを再現してMotecで再びチャコールキャニスターベントバルブを制御してみる事にしました。

まずは、DMEのマップをMotecのAUXテーブルで起こしてみました。

motec03.jpg

横軸はマニホールド圧を設定、縦軸はDMEマップの回転数をそのまま設定。マニフォールド圧は100(大気圧)以上の場合はチャコールキャニスターへ逆流しないようにワンウェイバルブで制御してあるので、本来マップは必要ありませんがアクセルオフの瞬間(センサーが読み取れないぐらいの時間)の対策のために一応ブースト圧1.0kg/cm2(200KPa)まで設定しておきました。マップの値はMotec側のDuty値を丸めて設定。

Motecでは3次元マップを作成できませんので、AUXチャンネルを2チャンネル使用してAux6に割り付けた(AUX6は計算だけ)AUXマップをAUX5で参照させ、

水温とAux6をAux5のAUXテーブルに設定

上記のような水温/Aux6のDutyの値をAux5で出力してチャコールキャニスターベントバルブをDuty比による電気的制御を行いました。
64℃までは出力Dutyはゼロなので常にキャニスターベントバルブは閉じています。これで冷間時はチャコールキャニスターベントバルブは開きません。

一応、水温100℃を超えたらキャニスターのベントは行わないように設定しました。

これでDMEマップをMotecでほぼ再現出来ているかと思います。本来はMotecのラムダクローズドループの状態を判別した方がいいのかな?そうすればラムダセンサーが冷えているときはラムダクローズドループには絶対になりませんのでエンジンが温まった後にチャコールキャニスターベントバルブを開閉できるようになります。

制御変更後、テスト走行を行ってきましたが、チャコールキャニスターがある付近からしていたガソリン臭がしなくなりました。

もう少し様子をみて、必要ならば調整を繰り返して行きたいと思います。

以上、「チャコールキャニスターベントバルブの制御(BMW E46)」でした。

 

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