DIYでドア内張の貼り直し(BMW E46)
DIYでドア内張の貼り直し(BMW E46)
BMW E46のドアの内張が布(ファブリック)タイプの場合、経年劣化によって年式的に一度も貼り換えしていない場合、どれもボロボロになっていると思います。
実際に分解した状態の中身は以下の通り...。
構造的というか素材的にどうしても布の裏側のスポンジが経年劣化による加水分解してしまい、剥がれてモコモコになる感じでしょうか。
ドアの内張は多少剥がれていても運転に支障が無いので、そのまま放置なE46が多いと思いますが、同じ構造の屋根の内張は垂れ落ちてくると運転に支障が出るので交換・張り直しする方が多いかと思います。
自分の車も21年手つかず状態で、内張の貼り直しを業者に出そうと思いつつも自分でやってみたい気持ちもあり、作業環境の制限等で後回しになっていましたが、今回DIYでのドアの内張を行ってみました。
まずは、内張の貼り直し結果から。
現状のドアの内張の状態(before)
左側(助手席側)のドア内張を外した現状です。
黒なのではっきりとわかりませんが、
違う角度から撮影してみると、内部のスポンジが剥がれ落ちているのがよくわかります。標準でレザーの内張の場合もレザーの裏にスポンジが貼られていると思うので、スポンジが加水分解して上記の写真の布素材程酷くは無いにしても少しはレザーが少し浮いた状態になるのかな?
そして、今回貼り直した状態が以下(After)です。
素人の施行なので細部は色々と問題ありますが、剥がれ落ちた布と比べればかなり綺麗にすることが出来ました。
内張の貼り直しに必要な物
今回ドアの内張の布を貼りなおすにあたり、まずは貼り直す素材探しから...。
どの素材にしようか色々と悩みましたが、素人が綺麗に貼るには少し伸びるフェイクレザーなら綺麗に出来そうなので迷わずフェイクレザー素材をネットで物色しました。
本物のレザー素材だと素材自身が伸び無いのと、レザーの貼り直し行ったドアの写真をネットで探してみたところ、レザーをドアの形状合わせて複数枚にカットして縫い合わせているので工業用ミシンも無い環境では手が出せないと判断しました。
ドアの貼り直す布部分の最大サイズを大雑把に計測して、フェイクレザーで薄手の素材、色はグレー系で探したんですがなかなか良い色が見つからず、グレー系を諦めて、(少しシルバーぽく見せたかった)オーソドックスに黒いフェイクレザーで手ごろなこれをアマゾンで購入。
サイズは左右2枚、余力があればリアもと考えて135cm幅の2mを購入。自分の車の場合、リアはロールバーが入っているので簡単にサイドパネルを外す事が出来ませんので、将来的に余力があったらリアも張り直してみたいと思います。
そしてこのフェイクレザーを貼るのに使用したスプレー糊はこれ。
フェイクレザーでも糊付きの素材もありましたが、サイズ幅が足りなかったり、フェイクレザーをしっかり貼る事を考えるとやはり糊無しの素材をスプレー糊で貼った方がしっかり貼り付けることが出来ると思います。(特にエッジの部分)
フェイクレザーはドアアームレストの肘あて部分にも貼り付けたためこの発砲スチロール用のボンドを使用しました。
また、ドア内張のアームレスト部分の下半分が例のプロティン塗装されており、よくよく見るとすでにボロボロ。
日頃あまり見えない部分なのでプロティン塗装が剥がれ落ちている事に気が付きませんでしたが、この部分はこちらの時のようにベタベタはしておらす、少し熱めのお湯をかけて擦るとボロボロと剥がれてきましたが、部分的にはなかなか落とすことができないので今回も無水エタノールを使用しました。
関連記事:
内装のベタベタを綺麗にしました(BMW、ベンツ、アウディ、フェラーリ、アルファロメオ)
無水エタノールは100均で売られているスプレーボトル(アトマイザー)に入れて使用します。
その他、必要な物のは加水分解したスポンジを削り落とすのに必要なスクレイパーと亀の子たわし、フェイクレザーを貼るのに必要なふすま貼りのときに使用するローラー、竹ベラ、洗剤はオレンジクリーナー、マジックリンといったところでしょうか。
マジックリンは結構な本数(丸2本)ぐらい必要でしたので、詰め替えの用意は必須かと思います。
内張貼り換え作業
まずは、ドアパネルの取外し。取外し方法はこちら。
関連リンク:
写真解説付き!DIYでのBMW E46 クーペ ドアパネルの外し方
布が貼り付けられている部分とエアバックの飛び出し口と3ピース構造になっています。布の貼り直しで一番大変な作業はこの布が貼り付けられている部分の取外しです。
こちらの写真を見てもらうとわかりますが、複数個所、樹脂を溶かして固定しています。また上記のネジ(トクルスT-20)、およびナット(9mm)はすべて取外し、エアバックが破裂した時に飛び出す部分はスチロール素材なので丁寧に取り扱わないと簡単に破損してしまいます。(写真のグレーっぽい箇所です。)
ちなみにETK等でドアパネルの部品を調べてみたところ、このエアバックの飛び出すスチロールっぽい部分のみのパーツ供給はされていないようです。なので破損したらドアパネル毎入手しか手が無いようです。この部分のエアバックが破裂するような事故の場合、ドアが大破しているという想定なんでしょうかね?!
樹脂部分はリューターで削り落とすと日が暮れるぐらいの箇所があるので、8~10mmぐらいのドリルを使用して電気ドリルで削り落としました。ただし、上記の写真の赤いリード線の上部あたりの四角い形状で樹脂固定されている部分はすべてホットナイフを使用して溶かしながら取外しを行いました。
上記の写真のように3つのパーツに分解します。エアーバック無しの車両の場合は2ピースなのかな?ETKにはエアーバック無しのドアパネルも掲載されていましたけどエアーバック無し車両は日本にはないのかな??
ドアパネルの細部を見てみるとこんな感じです。
エアバックが飛び出す部分。布が白茶けてシワもよってボロボロです。
ドアのスピーカーの上付近。スポンジが加水分解してベタベタ。このスポンジのカスが床に落ちると簡単には取れないので注意が必要です。ましてこのスポンジを床に落として踏んでしまったりすると悲惨な状態になるので新聞紙等を敷いて可能な限りスポンジのカスは床などに落とさないようにしたほうがよいです。(私は悲惨な状態になりました。)
ドアの取っ手付近もネジで押さえつけられている部分はまだ綺麗な方ですが、全体的に内部のスポンジが加水分解を起こしてモコモコになっています。
先にも掲載しましたが内張の布は簡単にめくれてしまい、加水分解したスポンジはこんな感じ。布を剥がしとって、加水分解したスポンジにオレンジクリーナーをかけてスクレイパーで削り落としていきました。
とにかく加水分解したスポンジがベタベタで除去するのが厄介。
オレンジクリーナーを吹きかけてスクレイパーで削り落とすことを繰り返して、結構根気がいります。(笑)
全体表面、エッジの部分なども可能な限りスポンジを削り落としました。この状態ではオレンジクリーナーで湿っているのでスポンジ(オレンジ色の部分)が残っている箇所がよくわかりませんが、部分的にまだかなり残っています。残りの部分はマジックリンを使用して洗い流します。
マジックリンを使用して洗い流すのにはかなりのスペースが必要なので屋外で作業しました。マジックリンをかけるとスポンジの残りがオレンジ色に浮き上がってくるので亀の子たわしとスクレイパーでこすりながらスポンジの残りを落としていきます。
水で洗い流してかなり綺麗になりました。
上記はまだ濡れた状態ですが、オレンジ色の加水分解したスポンジはほとんどなくなりました。
フェイクレザーを貼るのに、スポンジ成分が残っていると綺麗に貼ることができないので、可能な限り加水分解したスポンジを除去する方が良いです。
続いてエアバックの飛び出し口部分。ウレタン素材なので丁寧に扱う必要があります。エッジの部分は触るだけでボロボロと割れてしまいますので要注意。
布を剥がすとこんな感じ。こちらも先と同じようにオレンジクリーナーを吹きかけてでスポンジを削り落としましたが、ウレタンを傷をつけないようにスクレイパーで丁寧に加水分解したスポンジを削り落とす必要があります。
この部分は流しに収まるサイズだったので、ある程度加水分解したスポンジを落としてからマジックリンを吹きかけて水洗いしました。
続いてドアのアームレスト部分を分解しました。
アームレスト部分も3つのパーツで構成されていますが、これを3つに分解するのは本当に大変です。
まずはアームレストの肘あて部分を前側から内張剥がしを隙間から入れて少しづつ外し、アームレスト本体は内張はがしとマイナスドライバーを数本使用して爪を割らないよにアームレスト前方(車フロント方面)から少しずつ外していきました。
ちなみにアームレストの分解方法は、上記の動画を参考にしました。
アームレストのプロティン塗装には無水エタノールを使用。
アームレストのこの部分はお湯をかけただけでもボロボロとプロティン塗装が剥がれていきますが、なかなか頑固で落ちない部分には無水エタノールを吹きかけ、亀の子たわしで擦るとボロボロと簡単に落とすことが出来ます。
全体的にプロティン塗装剥がし終えたら一度乾かして、再度プロティン塗装が残っていないか確認して、残っていたらまた無水エタノールを使用してプロティン塗装を剥がし、最後にマジックリンで洗浄して乾燥して綺麗になりました。
続いてアームレストの肘あて部分。
表面は部分的にこすれてしまっています。21年経過している事を考えると状態は良い方なのかもしれませんが...。
この肘あて部分の中身がどのような構造になっているのか資料もなく分解するのに躊躇しましたが、スポンジの弾力は21年経過してもしっかりしているので、とりあず分解してみることにしました。
裏側の隅は結構しっかりと接着剤で止められていましたのでドライバーとカッターナイフで少しずつ開いていきました。
開いてみると3枚におろせました(笑)一番下が本体とスポンジ部分。このスポンジはまだしっかりしています。真ん中が肘あて表面、一番上が肘あて表面の裏についていたガーゼっぽい素材でした。今回はこのガーゼと肘あて表面を捨てて、フェイクレザーを貼り直しました。
剥がした肘あて表面(レザー部分)を型紙にしてフェイクレザーを切り出し、上記のような状態にして発砲スチロールボンドを使用して貼り付けていきました。
このような形に綺麗に貼ることが出来ました。内部のスポンジも弾力がしっかりしているので新品みたい。
これでアームレストのパーツの準備完了。プロティン塗装を剥がした部分は黒樹脂復活を施行していた方が良いと覆います。
アームレストの肘あてを分解する際に参考になるように裏側の詳細写真を掲載しておきます。
肘あて部分のこの部分には爪がありますので、外すときはこの部分を最後に、取り付けるときはこの部分から取り付けていきます。
アームレストが復活しました。
続いて、エアバックが破裂したときに飛び出す蓋部分にフェイクレーザを貼ります。
エアバック飛び出し口部分の蓋は、剥がした布をマジックリンで洗い流して乾燥させ、それを型紙にしてチャコペンや油性マジックでフェイクレザーに印をつけてハサミで切り出します。
手持ちのチャコペンで書いてみたところ写真のようにかなり薄い、わかりずらいのでこれ以外のマーキングには油性ペンを使用しました。
隅の位置を合わせてスプレー糊を使用して表面全体を固定後、スプレー糊を使用してエッジの部分をドライヤーで温めながら貼り付けていきました。
続いて、フェイクレザーを貼り付ける部分に合わせてフェイクレザーを少し大きめに切り出してスプレー糊を使用して貼り付けていきました。
フェイクレザーを貼りながら、ドライヤーをあててつつ、カッターで穴の部分をおおざっぱにカットして表面にシワが出来ないように貼り合わせていき、上記の写真のように貼り付けることが出来ました。フェイクレザーは購入時丸めではなく折られてくるので、シワが出来ていしますが、ドライヤーで温めながら糊付けしていけばシワはすぐに消えます。
エッジの部分は後からスプレー糊を吹きかけて竹べらとドライヤーでシワができないように貼り付け、端のあまったフェイクレザーはハサミかカッター切り落としていきました。
ドアパネルはタッピングビス(4mmx8)とホットナイフ(半田こての先端を交換して使用)で樹脂を溶かしてドアパネルが振動で外れないぐらい頑丈に固定しました。
プロじゃないので細部で気になる箇所はありますが、ここ数年間修理したいと思っていた箇所をやっと修理出来ました!
フェイクレザーの貼り方このコツ
一応、フェイクレザーの貼り方のコツを自分メモで書いておきます。
フェイクレザーは少し大きめに切り出す。
エッジ部分は裏側に丸めて貼り付ける事ができるぐらいのサイズが良い。
素材は若干熱で伸びるので細部は後で貼り付ける。
ドアパネルは大きいので半分だけにスプレー糊を吹きかける。スプレー糊は平な表面にまんべんなく、エッジ部分は後からスプレー糊を吹きかける。とにかく表面にまんべんなく吹きかける事。
スプレー糊を吹きかけた平の部分をローラーで貼り付けていく。とにかくシワにならないようにする事、空気が入らないようにする事。
エッジ部分のはみ出した部分は少し大き面いハサミでカットする。いきなりギリギリまでカットしない事。
エッジ部分は平な部分の糊が乾いて張り付いてからスプレー糊を少しづつ吹きかけてドライヤーを当てて密着させて押し付けながら貼っていく。
穴の部分は平な部分はカッターで穴に沿ってカットする。ネジ穴は十字にカットしてネジが通るようにしておく。
正直、もう2度とやりたくありません。(笑)
内張業者の人って凄いと思いました。
それなりに金額がかかるのは今回の作業で本当に納得です。
ドアパネルの分解はもう行わないと思いますので、次があるとしたらパネル毎の交換かな?
本当は軽量化目的でパネル毎交換したいのですが、レース車両ではないので、原型はとどめておきたいのでしばらくはこのままかな?
以上、「DIYでドア内張の貼り直し(BMW E46)」でした。
追記:リアサイドパネルの張り替えはこちらの記事参照。
関連記事:BMW E46 リアサイドパネルの張替え