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3Dプリンターでアルミインマニアダプタを作る(2)

3Dプリンターでアルミインマニアダプタを作る(2)

前回の記事に続きます。

一応自分はCG屋さんだった過去がありますが3Dデータのモデリングは思い起こせば20年以上ぶり。まずは3Dプリンター向けのソフトがどんなのがあるのか調べるところから始めました。(ちなみに私が昔使用していたソフトはSoftImage3Dです。モデリング機能は弱かったな。)

完全個人利用で商用利用しないという前提だとAutoDesk社のFusion360が多くの先駆者が使用方法などをネット上で紹介していたのでまずはFusion360をダウンロードしてインストール。オンラインのチュートリアルなどを参考にモデリングを開始したのが12月5日。チュートリアルは1~2日で終わってしまい、大体の基本操作の感覚を掴んでから1歩踏み込んだらわからない点を解決するためにアマゾンで書籍を購入。

Fusion 360 マスターズガイド ベーシック編 改訂第2版

最近はこのようなソフトウェアの解説本が沢山あって本当に便利ですね。昔みたいに英語マニュアルを訳しながら操作覚えるのとは訳が違うw

Fusion360を使った感想ですが20年前と比べるとCPUパワーも段違いで処理も早いし、モデリングソフトの基本的な部分もかなりしっかりしているという印象。特に3Dプリンター出力向けという点でブーリアン演算関連は本当によく出来ていると思いました。昔のソフトは少し複雑なブーリアン演算をするときに「落ちないで!」っと祈りつつ作業してましたが、昨今のパソコンはメモリー量も余裕があるので本当に作業がはかどりますね。(それでも時々落ちましたけど。)

上記の書籍の基本操作部分を一から1週間程勉強し、RACEMODE社のアダプターを採寸しつつモデリングを開始しました。(しかしこの歳になってまたモデリングするなんて夢にも思わなかった...)

アダプターを採寸した定規

採寸には複数の金属物先、ノギス、分度器、三角定規、コンパス、アマゾンで購入したこちらの角度をデジタルで測るツールなどを使用して行いました。実際の形状を紙になぞって角度を調べたりっとかなり地味な作業。作成する形状は既存のインテークマニフォールドのスロットルバルブに繋がる配管などはそのまま再利用したいので外寸やインテークマニフォールドのライナーの位置などは同一にして、エンジンブロックとアダプターを接続する部分やエンジンブロック側のポートサイズをM52TUBエンジンのサイズに合わせたり(M54Bとは若干異なる)、インジェクターポートの穴サイズの調整などを行いRACEMODE社のアダプターで気になっていた部分をすべて自分なりに調整・アレンジしながらモデリングを進めました。

渋谷のキンコーズ

モデリングを進める中でアダプター本体のサイズは562mmあるので渋谷のキンコーズでA1サイズの実寸サイズでフランジ面を出力して穴位置の確認などを繰り返し行いました。

アダプター3Dモデリング

上記は最終のモデリングデータ。結局年末年始を使って3週間程で上記のモデルを作成しました。モデルデータは本当は1ピース形状にしたかったのですが、このサイズのアルミ出力が出来る金属3Dプリンター出力をサービスで行っている会社が見つからず、出力できる最大サイズ内でアダプターの設置状態を考えて3ピースに分けてモデリングしました。色々と調べてみると562mmの幅を出力できる金属3Dプリンターは地球上に数種類(多分日本国内だと2種類)しかない模様。

モデリングを進めながら金属(アルミ)3Dプリント出力サービスを色々と調べていたのですが、納期や価格等を色々と調べて中国のPCBWayへオンライン注文しました。PCBWayは日本国内だとプリント基板の製作依頼でかなり人気というか有名な会社ですが数年前からCNC加工や3Dプリントサービスを始めたようです。

PCBWayにした決め手は「納期に厳しい」「Paypalでの支払いが可能」という2点でしょうか。過去にPCBWayを利用した方のブログやYoutube動画などを拝見したところ、納期に関しては皆さん口をそろえているのかと思うほど守られているとの事。実際、PCBWayのサイトに作成したモデリングデータをSTEPファイル形式でアップロードしてオンライン見積が表示され、モデルデータの確認に半日(実際に出力できるか確認してくれます)、審査通過後Paypalで支払いを行い、予定製作日数9~10日と表示されて1月10日にデータをアップロード後、製造開始は12日から10日後の22日には日本に向けてDHLで出荷され24日に日本に到着。DHLへ消費税の支払い等を済ませて25日には手元に届きました。

PCBWayからのインボイス

ちなみにですがPCBWayから審査通過後の送料込みの請求金額は日本円(Paypal支払い)にして約28万円($1865.06)でした。上記はPCBWayからのインボイスです。

paypalの支払い明細

28万円支払ってアルミの粗大ごみが3つになる可能性もゼロじゃないし、勉強代としては流石に高すぎる。自分的には採寸やポート位置は計4回行って十分納得のいくデータを作れたと思いつつも震える手でPaypayから支払いをしたのをいまだに覚えています。単純に28万円の物を買うのとはちと訳が違う...。支払い後は「CNC加工で設計込みで80~100万近くかかる」と言われた「1/3以下で出来る!」と心の中で自分を説得していたのは事実ですw

PCBWayより届いた荷物

上記は届いた直後の状態。アルミ製で全重量は約2Kg、かなりしっかり梱包されておりました。

アルミ3Dプリンター出力

上記が到着直後のアルミ3Dプリンター出力。実際に自分でモデリングした物が形になった事に少し感動(笑)

アルミ3Dプリンター出力

アルミ3Dプリンター出力

アルミ3Dプリンター出力のタップ加工

上記のインジェクターレールを止めるネジタップはオプション指定で加工してもらいました。モデリングデータ上ではM6の下穴のみをモデリングしてタップ加工を別図面で指定。

アルミ3Dプリンター出力

上記は3ピースを繋ぐ部分を加工してネジで仮止めしてみたところです。アルミなので当然削る事も出来るし溶接も可能。

アルミ製アダプターは完成しましたが実際に取付てみなことには安心できません。一番の問題はネジ位置が合っているか?そしてM52TUBエンジンのポート形状に合っているかという点です。

アルミ製アダプターを取り付けるためにエンジンヘッド側とアダプター面のガスケットを作成しました。RACEMODE社の純正インテークマニフォールドのガスケット流用では過給機付きの場合お話になりません。
ガスケットの素材ですがエンジン組み立て時に使用するガスケット素材にしようかと思ったのですが吸気ポートなのでパーマシールドのような液体ガスケットを塗ることが出来ない場所(はみ出した液体ガスケットが吸い込まれてしまう)なので、純正インテークマニフォールドにも使用されているフッ素ゴム0.5mm厚600mmx100mmをモノタロウで調達。

ガスケットへ台紙を貼り付け

モデリングデータからフランジ部分をPDF出力して(無償版のFusion360から直接はPDF出力出来ませんのでPDFプリンタ出力しました。)そのデータをイラストレーターで開いて吸気ポート部分を拡張してサイズの調整を行い、再びキンコーズで実寸印刷。(自分は最近イラストレーターはほぼ毎日使うような仕事しています。)キンコーズの印刷は若干ずれがありましたがそれらを考慮してフッ素ゴムに紙を貼り付けてカッターとポンチでガスケットを作成しました。

カットしたフッ素ゴム

フッ素ゴムはちょっと固めで切れ味の良いカッターならば比較的カットしやすかったです。デザインナイフだとちょっと刃が負けてしまうかな。

切り出したフッ素ゴムガスケット

微調整はインマニを下した後に行うとして取り急ぎガスケット製作完了。耐熱(200℃)、耐油、耐ガソリン素材のフッ素ゴムをエンジンヘッド側と3Dプリンターで出力したアルミ製アダプターで挟みこめば過給圧がかかってもまず漏れることはないかと...期待w

調整後の3Dプリンターアダプター

実際にアダプターを組み上げた時の状態を何度もシミュレーションし、インジェクターポートに手持ちのインジェクターを装備して穴の当たり具合などを何回も確認。アルミ化にあたりインジェクターOリング入り具合がよくなかったりしたのでポート内部を真鍮ブラシで磨いたり、仮組だけで数十回やったかな。アダプター本体の3ピースの接続部の当たり具合の調整は2日間程、寝ても覚めても調整して、これならいけるというところまで調整を繰り返しました。

続く

 

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