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BMW E46 プラグ交換

BMW E46 プラグ交換

7月に発生した熱海・伊豆山の豪雨による土石流で知人の母親が他界しました。「コロナ禍でもどこかに旅行にでも出かけて、ひょっこり帰ってきた!」なんて朗報を最後まで期待していたのですが、毎日ご親族からのSNS上の報告を見つつも最後の最後にご遺体が発見されたという一報を聞き、ただただ残念でしかありません。被害にあわれた方、心よりご冥福申し上げます。

土石流からひと月以上経過した現在もご遺体が見つかっていない方も折られるとの事(現在4名の方が行方不明のままとの事)なので少しは区切りが付けれ、災害発生後からひと月半後、葬儀が行われたため、コロナ禍ですが「御焼香だけでも」と思い、一緒に葬儀に向かう仲間のところへ車で行こうととしたらアイドリング不調発生。

排気ガスが生ガス臭く、数発失火しているような感じで、エンジンはかかるもののマフラーからはモックモクな黒系な排気ガス。おまけにマフラーからパンパン破裂音がしはじめて、何度かエンジンをかけなおしてみたものの治る気配がないため車での移動を諦め葬儀に向かいました。

葬儀から帰宅後、車の状態を確認。

前日、オイルキャッチタンクの洗浄を行った後にエンジンをかけたときは問題なかったのですが、オイルキャッチタンクまわりを確認してみるとMotecのMAPセンサーとブーストメーターの圧力センサーにつながるインマニからの負圧ホースが抜けているのを発見。

状態としてはインマニ圧力をMAPセンサーにて正常に計測できず、ホースが外れて大気圧状態だったので、アイドリングときに大量の燃料を噴射してモックモクな排気ガスと燃料が相当濃い状態だったのでマフラーからパンパン音がし始めたようです。

負圧ホースの修理は瞬間に終わり、エンジンを再始動してみたのですが、今度はまったくエンジンかからず。

想像するに十中八九というか、ほぼ100%エンジンをかぶらせてしまったようです。プラグがひたひたになったか、カーボンまみれで火花が飛ばない状態を予想。

まずは点火系の確認ということで、イグニッションコイルを外しインピーダンスを計測。

計測のために取り外したイグニッションコイル

コイル本体、エクステンション共に内部抵抗は問題なし。計測できたということはイグニッションコイルは問題ないので、ほぼ予想通りプラグが燃料でひたひたか、カーボン付着で火花が飛ばない状態になっているようです。

取り急ぎ、Motecマイスターの高橋氏に連絡して(夏休み中のご対応ありがとございました!)状況を説明すると「プラグを外すのが一番だけど、一晩置いて運がよければエンジンがかかるかも?どのみち要プラグ交換」との事。一応インマニのDISAを取り外してインマニ側からシリンダー内部のガソリンを気化させる試みをして一晩放置。(ちなみにDISAを取り外したときはかなりガソリン臭かったのでかなりひたひたになっていたかと思います。)

エンジンがかからない状態で2~3回セルまわし続けてしまったので念のためバッテリーにパルス充電器を接続してパルス充電を仕込んで翌朝まで放置。

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翌朝、イグニッションコイルを元に戻してセルを回してみるもまったくエンジンがかかる気配なし。感覚的にはまったくプラグの火が飛んでいない状態かなーっと。

プラグ外して確認すればよいのでしょうけど「たかがプラグ、されどプラグ」。
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プラグ交換を甘くみるな!(BMW E46)

プラグ専用のソケットも持っているのですが、工具セットにおまけで付いているようなプラグソケットなのでプラグ脱着のための工具と新品プラグをアマゾンから調達。

エーモン プラグレンチ 16mm ユニバーサルタイプ

まずはプラグを外すためのプラグ専用レンチ。使用しているプラグは14mmネジの(エンジンのネジ穴)16mmナットサイズなのでエーモン プラグレンチを購入。(エンジンのプラグホールに対して余裕の径です。)

最近のエンジンはプラグホールに取り付けるタイプの物がほとんどかと思います。(エンジンヘッドからプラグが飛び出しているような形状はまれかな?)そのためプラグの脱着を行う際にプラグホールにプラグソケットを入れて回すわけですが、このプラグホールがなかなかの曲者でソケットがプラグに対して垂直にしっかりはまっているか確認が出来ません。

万が一プラグに対して斜めに差し込んだプラグソケットを回すとプラグ本体の絶縁のために使われている陶器部分にソケットが当たってしまい、プラグを回した瞬間にプラグを折ってしまう事が多々あります。(プラグを外すときが一番リスクが高いです。)以下はNGKのホームページに記載されているプラグレンチの悪い使用事例です。

プラグの脱着ときのプラグレンチの傾き・滑り

スパークプラグはその特性上、締め付けトルクを守っても長期間装備していると固着しやすいため、プラグを外すために結構な力をかける事がほとんどです。(締め付けが緩いのは論外。)プラグ取り外しに手探り状態でプラグホールに適当な工具と突っ込んで外す行為はご法度。

プラグソケットとエクステンションの中間に首振りをつければ同じ状態を作れますが、安全を重視してソケットとエクステンションが首を振れるエーモン プラグレンチをプラグ取り外し用に購入。

京都機械工具(KTC) 9.5sq.プラグレンチ 16mm B3A16P

16mmのプラグ用ソケットは手元にあったのですが、ソケット内部にゴムブッシュでプラグを抑えるタイプのプラグソケットしかなかったので、プラグソケットとして定評のあるKTCの16mmのプラグソケットを購入。

京都機械工具(KTC) 9.5sq.プラグレンチ 16mm B3A16P

当然の事ながらE46のプラグホールで余裕で使用できる外径のソケットで、言わずと知れた高精度のソケットです。

京都機械工具(KTC) 9.5sq.プラグレンチ 16mm B3A16P

ソケットにマグネットが組み込まれているので、上記の写真のようにプラグがソケットにくっ付きます。手持ちの工具セットにおまけで付いているソケットは内部にプラグの頭をゴムブッシュで抑えるタイプのもので、プラグを外す時プラグホールでプラグを落としてしまう、またプラグ取り付け時、ソケット内部のゴムブッシュをプラグ置いてきてしまう事があるので今回はしっかりしたプラグソケットを購入しました。

ワコーズ THC スレッドコンパウンド チューブ 超耐熱潤滑剤

続いてプラグ交換にあたり購入したのはワコーズのスレッドコンパウンド

プラグのネジ部分の焼き付き防止のために塗る通称カッパーグリスです。プラグへのグリス付着は賛否両論がありますが、私は塗る派です。BMWも使用しているイリジウムプラグメーカーのNGKのホームページにもプラグには「潤滑剤を使用するな!」と明確な指定がありますが、どちらかというとエンジン屋さんは潤滑剤塗り派が多いようで、私も固着防止のため一応塗り派です。(その理由は後程ご紹介いたします。)
プラグの脱着は簡単な作業かもしれませんが、適当に行うとエンジンへのダメージは相当です。工具を揃えるだけでも結構な費用になるので、工賃払ってもプロに任せた方が安心です。

NGKイリジウムMAXプラグ BKR7EIX-11PS スパークプラグ

そして肝心かなめの交換用スパークプラグ。今回も前回同様にNGK製のイリジウムプラグを購入しました。

関連リンク:

NGKイリジウムMAXプラグ BKR7EIX-11PS スパークプラグ

NGKイリジウムMAXプラグ BKR7EIX-11PS スパークプラグ

多分、このプラグは4本セット(4気筒用?)か1本単位で販売されいるかと思います。6気筒用6本セットというのは無いのかな?
6本揃える場合、4本セット+2本バラで購入するのが一番安く購入できるかと思いますが、プラグの製造ロットが同じ物が欲しいので6本バラで購入しました。
まあバラで6本買っても同一製造ロットのプラグとは限りませんが4本セット+2本バラで購入するよりかは、6本同一製造ロットである可能性が高いかと思います。(謎の根拠 笑)

まずはプラグの取り外し。イグニッションコイルを外した状態でプラグホールをコンプレッサーのブロアで埃を念入りに吹き飛ばしました。コンプレッサーが無い場合は、掃除機でプラグホールの埃を吸い取る方法でもOKかと思います。プラグを外す前に絶対にプラグホールのゴミ・埃を掃除が必要で、プラグのネジにゴミ・埃を噛んでしまうリスクを可能な限りなくします。(もしショップでプラグホール掃除しないでプラグ交換していたら、2度と行かない方が良いです。まあそんなところばっかりだと思いますけど。)

エーモン プラグレンチは締め付け防止のためなのかレンチの取っ手部分が短く作られていますので、プラグの締め付けに対して簡単に緩ませる事が出来ません。エーモン プラグレンチの取っ手にうまくエクステンションを取り付けて「てこの原理」で緩ませてプラグを無事取り外し完了。やっぱり首振りが付いてるとプラグにソケットがしっかり刺さっているのがわかるので安心度が違いますね。

取り外したプラグ

上記は取り外したプラグです。カーボンで真っ黒。

カーボンだらけのスパークプラグ

かなりひどい状態です。どうみてもカーボンだらけで、これではまったく火花が飛びません。

カーボンだらけのプラグの拡大写真

プラグの先の拡大写真。これは酷い。今回短時間でしたがかぶらせてしまっただけでここまでカーボンが付着するとも思えませんが、プラグ交換をしてから2年、走行距離は2万キロ行かないぐらいで特に不具合もなかったので、今回かぶらせた事で一気にここまでの状態になってしまったのだと思います。

新品プラグの接点部分

ちなみに上記は今回用意した新品プラグ。全然状態が違いますね。(苦笑)
プラグの先端をバーナーで炙って付着したカーボンを焼いてある程度綺麗にする事が出来ますが、イリジウムプラグでは炙り行為NGだそうで交換するしかないようです。
現状のコンピューター(ECU)によるインジェクターを使用した車のエンジンで通常燃料をかぶらせるような状態になる事は殆どありませんので、今回はかなりレアケースですけどね。

KTCの16mmのプラグソケット、プラグ、スレッドコンパウンド

早速、新品プラグを取り付けます。KTCの16mmのプラグソケットにエクステンションをつけてプラグをソケットに装備後、

スレッドコンパウンドを塗ったプラグ

スレッドコンパウンドをプラグネジの根本部分(大体半分)に指で塗りつけます。全部塗ってしまうとシリンダー内部まで付着してしまう恐れがあるので半分ネジ固着を避ける(プラグガスケットには塗りません。)のが目的です。

余談ですがKTCのプラグソケットはプラグが磁石で落ちないのは安心感が全然違いました。ゴムブッシュ式のソケットでは、ゴムブッシュが緩いといくら慎重にしてもプラグホール内でプラグを落としそうになったり、ゴムブッシュがきついとソケットを外すときにプラグにゴムブッシュをプラグに置いてきそうになったりしますので、定評通りKTCのプラグソケットは非常に良いです。

1番ホールにプラグを取り付けた状態

プラグは指の力でエクステンションをゆっくり回し、ネジの最後まで軽くエンジンヘッドへねじ込みます。指で回して回転しなくなるところまで締めた後、ラチェットを使用して120°回転させて締め付けます。(くれぐれもラチェットを付けた状態でプラグをいきなり取り付けてはいけません。

ちなみにBMWの指定トルクは25Nmで、最後の締め付けにトルクレンチを使おとも思ったのですが、トルクレンチも25Nm程度の弱いトルクだとトルクの正確性が求められ、正直手持ちのトルクレンチは少し怪しいのでプラグの新付けはNGK指定の推奨締め付け角度方法で行いました。

色々なサイトやプラグ脱着を紹介しているYoutube等を参考にしたのですがこちらのサイトが最も詳細に書かれているかと思います。
関連リンク:

青に聞け!!: 点火プラグの締め付け方

結論から言うと締め付け角度=ほぼ指定締め付けトルクになるという事です。確かに120°回付近で急にきつくなりました。BMWの25Nmのほぼ指定通りに締め付けられていると思います。

イグニッションコイルをもとに戻す

6本全部のプラグをラチェットで120°に締め付けてイグニッションコイルを装備。この年式のE46はイグニッションコイルがねじ止めなので1本あたり2本のネジ、計12本のネジで固定。

イグニッションコイルのハーネスをもとに戻す

すべてのイグニッションコイルをコネクターを接続。接触不良などを起こさないように確実にコネクターが刺さっているかをよく確認しました。

タワーバーを戻す前にエンジン始動

タワーバーを戻す前に一度エンジン始動。全然かからなかったエンジンが一発でかかり一安心。

元通りになったエンジン

無事、元通りになりました。

プラグ新旧を比較

上側新品、下側2年使用したプラグ

取り外した古いプラグをバナーを使用して炙ってカーボンを焼き落とし(ライター程度では無理です。)、パーツクリーナーで洗浄してみました。

上記の写真の上は新品プラグ、下は使用済みプラグです。この写真から色々な事がわかるかと思います。

まずはネジ部分の焼き付け具合。プラグに対してスレッドコンパウンドを塗った半分は一切焼き付きがありません。新品とほぼ状態が変わっていません。2年程度でプラグのした半分の状態まで焼けているので、ネジの焼き付き防止にスレッドコンパウンドを使用のは悪くないかと思います。但しプラグホール部分にスレッドコンパウンドが付いてしまうとゴミ・埃の付着等が発生しまうのでスレッドコンパウンドを使用する場合プラグ取り付けをより慎重に行う必要があるかと思います。

続いてプラグのガスケットの厚みの状態。プラグはガスケットをつぶして固定する仕組みになっています。上記のプラグ比較の写真を見て頂くと一発でわかりますが、下側はガスケットが潰れています。これは以前から疑問に思っていた事なのですがイリジウムプラグなど10万キロ推奨のロングライフプラグは、通常車検時の予備点検ときにプラグの脱着を行い確認をするはずですが、このガスケットは何回ぐらいの脱着に耐えるのでしょうか?

NGKのホームページを見ると私の使用しているネジ14mmの新品プラグは120°回転締め付け、再使用のガスケットの場合30°締め付けとなっています。2回目以降のプラグ取り付けの際、最後の締め付け角度30°で脱着を繰り返すと次第にガスケットが潰れていき、しまいにはガスケットは潰れない状態になりプラグが固着してしまうように思われます。

多分、ガスケットが潰れる前にはプラグが寿命を迎えるので交換前提という事になるとは思いますが、プラグを再利用する場合のプラグのガスケットの耐久性等(何度まで脱着可能等)もメーカーは記載した方が良いのではないかと思います。

以上、「BMW E46 プラグ交換」でした。

 

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