BMW E46 MTコンバート(2006年にマニュアルトランスミッション化)
MT化(BMW E46 マニュアルトランスミッション化)を行なった理由

スーパーチャージャー装備したその日にオートマチックトランスミッションが滑り警告灯が点灯してしまう状態になりました。以下の写真は、警告灯が点灯した状態です。
スーパーチャージャー装備時点ですでに9万キロ走行していたのでオートマチックトランスミッションのフルード交換は定期的に行ってきたものの流石に新品と比べれば疲れてきている状態。そんな中、鞭打つようにエンジンパワーを上げたのでトランスミッションが滑るのは当然の結果です。
簡単な対策としてオートマチックトランスミッション用のドーピング剤Wako'sのATプラスなどを使用しましたがまったく効果なし。(苦笑)
今にしてみれば滑るのは当然の結果で、パワー計測した結果(っと言ってもスーパーチャージャー装備してから8年後に計測)、トルクに関しては倍近く、パワーに関しては過給圧比通りに1.8倍上になっていましたから...。
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そもそも自分の車E46 328ciのトランスミッションは「どのくらいのトルクとパワーに耐えるのか?」ということがわかっていませんでしたが推測では初期のE46 ALPINA B3が同じオートマチックトランスミッションを使用していたのでパワーは280馬力ぐらいまでは耐えられるということぐらいでしょうか?重要なのはトランスミッションが耐えれるトルクなのであまり関係ありませんね。この時点でスーパーチャージャー装備後、300馬力オーバーになっているのことがわかりませんでしたので、今にしてみればオートマチックトランスミッションが滑るとどうなるのかが体感できたのは良い経験だったかもしれません。
実際、スーパーチャージャー装備して一番の驚きはトルクが分厚くなり、オートマチックトランスミッションの変速ギヤ関係なく、4000回転以上で回すとオートマチックトランスミッションが簡単に滑り、警告灯点灯という状態でした。
警告灯が点くとオートマチックトランスミッションをMTモードでの操作はできるもののオートマチックトランスミッションからの異音が常に発生。一度エンジンを切れば異音発生はなくなり元の状態に戻りますが、この状態で乗り続けることはほぼ不可能でした。
選択肢は2つ
このような状況で、対策方法の選択肢は2つありました。
- スーパーチャージャーのプーリー径を大きくしてスーパーチャージャーの回転数を落として過給圧を下げてパワーを抑える。
- ミッションスワップ、すなわちMTコンバージョン。
流れとしてはMTコンバージョンの選択しかないわけでした。後々わかったことですが、海外のメーカーからBMW E46用のオートマチックトランスミッションを強化するキットが販売されていました。どのぐらいのトルクに耐えるのかわかりませんが、海外のE46フォーラム上でスーパーチャージャーを装備した方々で話題になってしました。
しかしオートマチックトランスミッションの強化といっても、オートマチックトランスミッションを分解して組み立て上げられる技術がなければできないので日本ではほぼ現実的ではありません。日本以外はの大半の国でのBMW E46の車両販売はマニュアルトランスミッションの設定があり、グレードに関係なくマニュアル車が販売されていますので海外のE46スーパーチャージャーユーザーはマニュアルトランスミッションへの改造キットを使用してクラッチを強化している人が大半のようです。
色々な海外のBMWフォーラムを読み漁った中でベストなクラッチキット製品としてE34 M5のクラッチコンバージョンキットというものが存在していました。フライホイールをシングルマス化して、強化プレッシャープレートとE34M5用のクラッチ板を流用するのでクラッチ板自体はスーパーチャージャーを装備してもパワーもトルクも問題なく使用でき、おまけにBMW純正部品を流用できるということで愛用者が結構多数いたようです。
このスーパーチャージャーとE34M5のクラッチコンバージョンキットの組み合わせは、海外のBMWフォーラムではで一番ベストとお勧めされていました。(後にわかったことですが、E36M5のクラッチ板は240mmサイズのE36M3B/C、Mクーペと共通パーツでした。E34M5は3.8LはS38B38エンジンは335PS/400Nmだったのでウリ文句でE34M5のクラッチ流用と書いて販売していたんでしょうか?)
MTコンバートを開始
前置きが長くなりましたが2006年4月20日、MTコンバージョン用のパーツが揃ったということでStudie横浜さんで作業を行いました。パーツ調達はすべてお任せしたのでE36時代にDIYで海外から調達した方などと比べると特に何の苦労もしていません。(笑)パーツ構成はすべてBMW E46 328ciの右ハンドル仕様の純正パーツでのマニュアルトランスミッション化です。トランスミッション本体ははE36M3B(初期型のM3)の5速トランスミッション(ZF社 S5D 320Z)と同じパーツ構成になります。BMWのMTコンバージョンは多分大体同じだと思いますので、E46以外の方でも少しは参考になるかと思います。
MTコンバートに関して良く質問される内容
MTコンバートに関して良く質問される内容としては、予算と期間(パーツ調達、組み立て)でしょうか?
予算
予算に関してはすべて新品パーツでの交換を行いましたので100万オーバーとなりました。純正5速ミッション、マニュアル化に伴うパーツ一式(フライホイール、クラッチ一式、ペダル、マスター&スレーブシリンダー等々)、ドライブシャフト、ファイナルギア、アルミペダルアクセサリー等をすべて新品調達パーツ、不要となったオートマチックミッションの処分費用、および工賃の金額です。(MT化してファイナルギア交換しない人もいるみたいですがw)
車種によって違いはあるかと思いますがミッション本体・ドライブシャフト以外のパーツのみ新品で用意してMT化すれば半額ぐらいまでには抑えられるようですが、ドライブトレイン系でのトラブルはかなりリスクがあるので出来る限りはじめは新品交換がベストかと思います。同じBMW E46でも一部のメーカーのミッションはオーバーホール不可のため中古ミッションを使用する場合リスクが伴います。また、オーバーホール可能なミッションであっても日本国内でBMWのマニュアル・トランスミッションのオーバーホールできる所は数えるぐらいしかないと思います。
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特に自分の車種の場合日本国内に右ハンドルでのMT設定がありませんので、調達したミスなどのトラブルにもなりかねません。左ハンドル車で元々マニュアルトランスミッション用のパーツ流通があって日本国内でも簡単にパーツが手に入る車種ならば別かもしれませんが、E46、前期、右ハンドルをマニュアルトランスミッション化するというのはかなりのレアケースかと思います。
金額に関して100万は高額ですが結局マニュアルトランスミッションに乗せ換えてから2022年時点で16万キロ、16年間使用してきたので1台の車でまったく「異なる状態を楽しむ」と考えれば金額的にはそんなに高いものではなかっと思います。(車を定期的に乗り換えている方からすると理解できない行為かと思いますけどね。)
パーツ調達期間
パーツ調達にかかった期間は3週間ぐらいです。必要なパーツのリストアップに約1週間、本国オーダーパーツは最低2週間の期間がかかりますので目安としては、地球規模のパンデミック等が起こらなければひと月ぐらいとみておけば大丈夫かと思います。パーツ調達に関してですがマニュアルトランスミッションへのコンバートを行うためには、いくつかの大物パーツが必要となります。(ミッションの交換にはいくつかのSST(特殊工具)が必要になります。マニュアルミッションに経験豊富なショップを頼るのがベストです。)
トランスミッションギヤボックス以外の大物パーツは、ファイナルボックス、トランスミッションのサイズが変わるので、ドライブシャフト、その他、マニュアルトランスミッションを装備する上で必要なペダル、シフトレバー、油圧制御のシリンダーなどかなりのパーツ数となります。パーツをリストアップするだけでもかなりの数量となり、パーツを調べるのに「1週間かかるの?」っと思われた方は、マニュアルトランスミッションへのコンバートはそんなに安易にはできませんので信頼できる専門店と下打ち合わせはしっかり行うようにしてください。
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E36/E46のクラッチパーツ番号を比較してみた
BMWの重整備ができればトランスミッションの載せ替えは行えると思いますが、トランスミッションを載せ替えた後の対応までしっかりやってくれる店はかなり限られると思います。
この原稿を書いているのは2017年(2022年に加筆)で、トランスミッションの載せ替え作業は11年前(2006年)に行い、当時はE46は現行車種でしたが、現在は車両販売を終えてからかなりの年月が経過していますので本国オーダーしても欠品パーツが存在する可能性が十分にあります。
トランスミッション関連に関しては、その他のBMWグレードと共通するパーツが多いのでパーツ在庫がないということはまず無いと思いますが、もしこれから検討されている方がおられるようでしたら十分注意してください。
余談ですが、以前、スーパーチャージャー装備後の問題点を修正するために、燃料デリバリーレールを本国オーダーした際、在庫1個と言われたことがあります。その後パーツが増産されたかは不明ですが、燃料デリバリーレールなどの交換は通常ほとんどありえませんので、このようなマイナーパーツの場合はパーツが無くなった時点で終了です。燃料デリバリーレールは消耗品ではありませんし、劣化するようなパーツではありませんので中古でも十分対応できるパーツですけどね。また、BMW純正にこだわらないというのならば、策は色々とありますが、その場合トラブルの際の対策を考えた上で行った方が賢明かと思います。
トランスミッション交換作業
組み立てに関しては二日間でした。これはかなり急いで対応してもらったので二日間で済んだと考えておいてください。
1日目はオートマチックトランスミッションを下す作業とマニュアルトランスミッションを乗せるためのした準備、2日目にマニュアルトランスミッションを組み込み、動作確認、テスト走行という流れです。(その他、DME、IKEのソフトウェアコーディングが必要となります。)
MTコンバージョン後の話になりますが、オートマチックトランスミッション時に装備していた取り外したパーツの破棄、MTコンバージョン後の車検での構造変更申請等、やることは山積みです。
MTコンバージョン後の車検について構造変更申請が必要となります。トランスミッションを交換に伴い、前後重量が変更となるためドライブシャフトを外しての車重量計測が必要となり、経験ある業者ならば手順は把握されているかと思いますが、経験が無い業者だと結構大変なので嫌がられたりするようです。
以上、更に前置きが長くなりましたが、以下は、MTコンバートときに撮影した当時の写真を掲載します。
※2006年頃のFOMA携帯(なので、画像はあまりよくあません。
以下は、マニュアルトランスミッション取り付け作業風景の写真となります。
以上、MTコンバートを考えている方の参考になれば幸いです。
上記に関するお問い合わせは、以下へお問い合わせください。
スタディ横浜
〒222-0034 横浜市港北区岸根町61-2
TEL:045-476-3181
ホームページ:http://www.studie.jp
2022年2月のシフトレバーの状態:
その他マニュアルトランスミッションに関するリンク:
藤原拓海になれるか?(笑)IRPシフターの取り付け BMW E46
以上、「BMW E46 MTコンバート」でした。