Motec アイドリングコントロール設定メモ(3)
前回に続くMotec M100系でのアイドリング制御に関するメモです。
今回は、禁断の(笑)アイドリングコントロールバルブによるダッシュポット(Dashpot)制御について記載します。
この設定に関しては、いくつか諸条件がありますので、
どのような設定環境でも使えるというわけではありません。
そもそもMotec M100系でオートマチックトランスミッションの人にはほとんど関係ないと思われるので、(アイドリング制御もエンストしない程度で済むでしょうしね。)
マニュアルトランスミッション、軽量フライホイールをつけているような方で、
クラッチ切ってエンストしそうになるというような方には、
この内容は朗報かもしれません。笑
ちなみに、AVO Motec JapanのMotec マイスター高橋さんの話(多分に過去に日本一Motecの設定台数をこなした人。小島さんよりも多いと思うけどね。笑)では、
自分の車ほど、アイドリングで困った車は過去にないそうです。
ただ、過去に一台だけ、似たように回転数が落ち込む車があったそうですが…。
ほとんどは、大体の大雑把な設定で事足りてしまうということでしょうかね?
そもそも、Motecをつける車で一般公道で走行することを重視している車が少ないということでしょうか?笑
ちなにに自分の車の条件が、オートマッチクトランスミッションからマニュアルトランスミッションに変更し、軽量フライホイールを組んだなど、アイドリング安定させるのにマイナスなことばかりですから仕方がありませんね。
で、今回のアイドリングコントロールバルブによるダッシュポット制御ついてですが、本来のMotecのアイドリング制御機能では実装できません。
そんな機能はどこにもありません。
ちなみにHKSのFcon-V(?)などにはダッシュポット機能がついているようです。
まあそもそも、ダッシュポットって何?って人もいるかと思いますが、
今のドライブバイワイヤーの車ならば、スロットルバルブを電子制御でゆっくり閉じるという機能がダッシュポット機能になります。
今の時代、言葉で説明するよりも、
の動画を見た方が早いですかね?笑
機械的にスロットルが閉まる最後の部分をダンパーによってジワリとスロットルを閉じる機能です。
これにより、極端に速くスロットルが閉じられないことで、エンジンの回転数の落ち込みがゆっくりになるということです。
で、ここで今回の設定を行う上で、Motecの基本部分設定で制限があります。
今回ここで紹介するMotec M100系のダッシュポット機能は、Motecの基本設定のFuel /Ignitionテーブルの縦軸がMapセンサー(インマニ圧)制御になっていることが必須となります。
Motecは、基本的に吸気温、水温、インマニ圧、センサーが必須事項になっているので、Mapセンサーを軸にしている方も多いとは思いますが、スロットル開度(TP)を軸にしている場合は、スロットル開度によってFuel/Ignitionの値が決まってしまうため、アイドリングコントロールバルブによるインマニ圧制御によってFuel/Ignition制御が行えず、うまくいかないかと思います。
(燃料が薄くなるだけでしょうか?何らか違いはあるかもしれませんけど。)
上記は、自分の車の設定内容です。縦軸は全部4、MAPセンサーを使用しています。
多分、過給機が付いている方はインマニ圧による制御になっていると思います。
ちなみに自分の車は、Motec装備直後はスロットル開度(TP)による制御でしたが、
スーパーチャージャー搭載後、インマニ圧(MAP)へ変更しました。
続いてダッシュポット機能ですが、先にもご紹介した通り、Motecのアイドリング制御にはダッシュポット効果をつける機能はありません。
ダッユポット機能をつけたいところは、非アイドリング制御時、すなわちアイドリング制御関連では、Idle Inital Postionの値を制御することになります。
しかし、残念なことにIdle Inital Postionは、横軸1軸しか軸指定ができません。
このブログの過去ログを見てもらうとわかりますが、オーストラリアのMotec本社にV3.xのバージョンアップでIdle Inital Postionを対応してもらいたいと問い合わせましたが、M100系の開発はすでに終わったので対応できないという悲しいお知らせでした。
そこで、無い知恵(笑)絞って考えたのが、これです。笑
Idle Inital Postionに空いているAuxチャンネルを指定します。
チャンネルはなんでも大丈夫です。(実際には未接続のままです)
そして、Auxチャンネル側の指定は、Aux Talbe(3) を指定し、
パラメーター内容は以下のようにします。
そして、テーブルの値は以下のように2軸を指定します。
横軸に水温(ET)、縦軸に、Closed Throttle Time(CtpTms)を指定します。
MotecのVersion3.0から、Motecの内部タイマー、
Run Time,
Crank Time
Full Throttle Time,
Closed Throttle Time
の4つが使用可能となっています。
(Motec ECUマネージャーのHelp Read Me...を参照してください。)
ここでは、CtpTms、スロットルを閉じた後に開始されるタイマー時間を縦軸に(図では、2秒間でほぼNormalポジションの値になるように設定)をし、
このAUXチャンネル(図では4)で計算された値をIdle Inital Postionに0〜100%で割り付けます。
Normalポジションよりも若干開けた状態にしたい場合は、
図のIdle Inital PostionのようにAux4の値に1.5ぐらい追加して、
オフセットの値を追加して調整しています。
(Idle Min /Max Outputの値で頭打ちにならないように注意してください。)
自分の車は、水温が低い(0度)付近の値がまだ未調整なので、現状の値は上記のようになっています。
この設定では、スロットルを閉じて、2秒間後に通常のアイドリングポジションに戻るという設定になります。
Closed Throttle Timeのレスポンスは、
で指定することができます。
TPを閉じたと判定する値(Closed Throttle Time TP)閉じた後タイマー時間をリセットする延滞時間(Closed Throttle Reset Delay)の2つが設定できます。
重要なのは、Closed Throttle Reset Delayです。
本当はゼロでもいいのかもしれませんが、現在は0.05秒ほど延滞時間を入れてあります。
ちなみに、アクセルを開けてアイドリング制御が行われなくなった時、Idle Inital Postionの値としてAUXの値が参照されるわけですが、
タイマーの値はアクセルを閉じたままならば勝手に進むので、
図の設定内容ではテーブルに指定した2.0秒のところ(2秒以上経過していれば)の値がアイドリング制御なしの状態のアイドリングコントロールバルブの開度として参照されます。
以上、自分が考えて実際に設定しているMotecM100系でDashpot(ダッシュポット)効果をつける方法です。
自分の車は、この設定で、アクセルの空ぶかしをしても、エンスト皆無となりました。
(また季節が変わったら調整しなければならないのかもしれませんけど、一応、Air Con Increaseの値だけで逃げれるようにしてあります。エアコンコンプレッサーの負荷がもう少しすくなければいいんですけどね。)
この方法で問題があるのは、アクセル開度が大きい時、すなわち高い回転数からの回転数の落ち込みの時間と、軽くアクセルをあおったときの回転数の落ち込みがの速度が異なるので、本来CtpTmsだけで判断するのは間違いなのかもしれませんが、機械的なダッシュポットと同じ効果にはなっていることになります。
ここで紹介したパラメーターはあくまでも参考にして、もし設定を行う場合は、ご自身の車に合わせた値で設定してみてください。
以下は、Motecと関係ありませんが、自分の車のECUの情報を調べたところ、
というようになっていることがわかりました。
IDLE ACTUATORはスロットル開度に15%までは、連動しして開くという仕組みです。
この機能をMotecで再現できないか考えてますけど、まあなくてもいいのかな。笑
自分の車には、上記のMDKというワイヤーでスロットルバルブを開いていながら、ECUがスロットルの開け具合を制御する機能を取っ払ってます。
できないことがないと、言われるMotecですが、そう簡単はいかない部分も多数ありますね。
以上、あくまでも自己責任にで参考にしてください。