Motec アイドリングコントロール設定メモ(2)
- 2016/10/10 21:04
- カテゴリー:Motec 関連
- タグ:#motec, #設定, #アイドリングコントロール
Motec アイドリングコントロール設定メモ(2)
前回のこの記事に続く内容をメモとして残します。
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エンジンの再起動の直後のエンスト対策
前回までの内容はイニシャルセットアップに近い内容でしたが、今回は前回の記事の最初に紹介した、
「エンジンの再起動(完全に冷え切っていない状態など)の直後のエンスト対策」
です。
この方法がセオリー通りなのかわかりませんが、自分がうまくいっているので、レースシーンでMotecを利用している人でも参考になるかと思います。
レース中、エンジンを切って再起動しない時ほど、心臓に悪い状態はありませんよね?(笑)
エンジンの再始動の際、アイドリングでこけてしまう場合の対策には役に立つかと思います。
ここの話は、まあなんとかPWM方式のアイドリングスピードコントロールバルブ(ISCV)で制御できている状態の設定向けなので、Motec M100系のアイドリング初期設定は前回の記事を参考にしてください。
AVO Japanさんのブログに記載がありましたが、Motecの日本語マニュアルが出ているようなので(見たことはありませんが…)そちらも参考にするとよいかもしれません。
まずはじめに、回転数設定(Idle Aim RPM)の設定ですが、EUCマネージャーのF1キーで表示されるヘルプマニュアルの通り、横軸は水温(ET)を設定しているかと思います。
さすがにアイドリング回転数を決めるにはエンジンの状態を示す値が必要となるので、セオリー通りETがベストでしょう。
そしてIdle Aim RPMは、2次元座標が指定できますので、この縦軸にRunTmを指定します。
Run Tmとは、 多分、Running Time の略で、Motec上でのエンジン始動時間となりますので、エンジンをオフにするとRun Tmは常にリセットされます。
ちなみにMotecでのエンジンOn/Offは回転数で判断しています。General Setup Miscellanneous Setupの中にあるRun RPMが判断回転数となり、Run Tmがここで指定された回転数以上になると0秒にリセットされる仕組みのようです。
ちなみに、縦軸に指定するときに、センサー一覧には標準では表示されませんので、センサー選択ダイアログの下にある「Show non-sensor channels」にチェックを入れてください。そうれば、Run Tmが一覧に表示されるようになります。
続いて、Run Tmの軸の数値設定を行います。エンジン初期のアイドリングは数秒間だけ、高く、横軸の温度に合わせて、30〜60秒間ぐらいで目的の回転数を指定します。
これは、エンジンの特性に合わせて任意で暖機済みのエンジンはどのぐらいでアイドリング回転数に落ち着かせたいかによって秒数を変えてください。
自分の車は、スーパーチャージャーをつけてからDMEのアイドリング制御ではどうにもならなくなり、その時点からMotecのアイドリング制御を使用しておりますので、2006年から2016年のつい先日まで、エンジンの再起動後にすぐエンストすることが多発していました。
状況的にはエンジンが温まった状態での夏場、大気中の酸素濃度が薄い状態ではイニシャルときに噴射される燃料が濃くなるためか、クランキング後、エンジンがかかってアイドリング回転数を目指して回転数が落ちていくと、そのままエンストしてしまう状態が続いておりました。
こんな状態でもアクセル少し煽れば、まあなんとかなってしまっていたので、Motecの設定で逃げる方法などを考えたこともありませんでしたが、海外のフォーラムでM100系のサンプルファイルで、こと細くアイドリング設定をしている方の設定ファイルを見てから奮起し、エンジン始動ときの回転数指定をRun Tmパラメーターを用いてやってみることにしました。
自分の車では、Run Tmパラメーターの時間軸は、0, 1.5, 10, 20, 30秒に設定し、0.0秒のときはアイドリング回転数の倍ぐらいの値を設定し、1.5秒では、アイドリング回転数に近い高めの回転数を指定し、マップ全体的には冷えているときは高め、暖機済みの場合は、徐々に回転数下げて、目的のアイドリング回転数なるように設定してあります。
この設定についてもう2つパラメーター設定を調整する必要があります。
それはIdle Min/Max Outputの値です。
多分、ほとんどのPWM ISCVでは、Min Output の値は固定となっているかと思います。この値は、バルブ開度の最低値を指定できるので、かなり煮詰める必要がある値です。
なので、ここでもMin Outputの値が設定済みの場合の話となりますが、このMin Outputの横軸(Min Outputは1次元指定しかできません)にRun Tmを指定します。
軸の値は、先のIdle Aim RPMの縦軸で指定した初期の目指す回転数に合わせて0, 1.5のみを指定し1.5秒後にはこれまで指定していたMin Outputの値、0のときは、Idle Aim RPMのRun Tm0秒のときの回転数に必要とされる値を入力します。この必要とされる値は、EUCマネージャーのチャートレコーダーでIdle Actuator Posの値を目視していれば、大体の必要とされる値がわかります。
ここで注意しなければならない点として、Idle Min/Max Outputの値には、Idle ControlのSetup Air con Increaseのエアコンオンのときの値が追加されるという点です。(もしかするとパワステも追加されるかもです。エアコンon/offをアイドリング制御に反映する設定は、こちらを参考にしてみてください。)
実はこれに相当はまってしまったのですが、自分の車のオートエアコンは、エアコンがオンのままエンジンをかけると、エアコンパネルのステータスはエアコンが入っていることになっていますが、エンジンをかけた直後、一瞬エアコンがオフになるという落とし穴がありました。
(なぜか沢山手元にあるBMW E46のエアコンパネル笑)
この落とし穴によってもエンジン再始動後、すぐに落ちてしまった理由なのかもしれませんが、Idle Min Outputの値、すなわちアイドリングバルブの最低開度を強制的に任意の時間(ここでは、RunTmで、1.5秒間)だけ開かせる状態にすれば、クランキング後、エンジン回転数が勢い良く上がり、1.5秒間以内にはアイドリング回転数を目指すという状態を作ることができます。(まるで市販車みたいだ!笑)
この設定を行った後、エンジン再始動でエンストすることは一切なくなりました。
なんか少しだけ設定だけで、暖機済みのエンジンの再起動でエンストしなくなるストレスから解放されたのは大変嬉しいことです。笑
ちなみにIdle Max Outputですが、こちらの値は、横軸にエンジン温度(ET)を割り付けています。アドリング中のハンチングを防ぐためにMaxの値は、可能な限り詰めたほうがよいです。ちなみにこのIdle Max Outputの値には、先と同じようにAir con Increaseが追加されますのでご注意ください。
自分のIdle Max Outputの値は、Normal Postionの横軸に同じエンジン温度(ET)を設定し、そのNomarlの値に対して+2.5ぐらいまで詰めてあります。(Normal Positionの値にもAir con Increaseが追加が加算されます。)
あとは、PIDのIパラメーターがアイドリング回転数に合わせて微調整してくれます。
Iパラメーターの最大最小は、Idle Min/Max Integration Limitの値でNormal値に対して+/-で制限できます。
自分は現在はディフォルトのままの+/-10にしてあります。この値を制限するのは、外気温、湿度によってかなりシビアで、現在日々状態を計測し、手頃な値を模索しているところです。ECUマネージャーのF1ヘルプによるとなるべく小さな値にしたほうが良いと記載されています。
以上、Motec Idle設定のメモでした。
続きはいつになるかわかりませんが、Motecの設定にはない、PWMアイドリングバルブによるダッシュポット(Dashpot)機能の追加を紹介したいと思います。
自分の車は、スーパーチャージャーをつけてから、ほぼ100%空ぶかし後、エンストするという状態が、10年間続いていましたが、現在は皆無です。アイドリング回転数以下になることなく、綺麗にアイドリング回転数付近で安定するようにすることができております。この状態は、走行中にクラッチを切っただけでエンストすることもあるので、本当になんとかしたかった一番の制御です。(ちなみに燃料カットの設定もかなり影響しますので、設定が本当に大変です。日本の自動車メーカーが、この四季折々の日本でいつでもエンジンが始動でき、安定したアイドリングするようにエンジンを作るという技術は、本当に凄いことだと痛感させられました。)
国産車でもマニュアルスワップした多くの方が、スロットルバルブをMT用に交換することでエンストを回避したり、国産のECUに付属してているダッシュポット機能(ネットで拾ったマニュアルを見ましたが、HKSさんのECUなどには付いているみたいですね。)でエンストしないようにしている方が多くおられ、ミッションのマニュアル化を行った人しかわからない悩みなのでしょう。笑
続く